昨年令和5年の8月、岳南稲門会は12年ぶりに「静岡県稲門祭」の主管を務めました。コロナ明けの手探りの一大イベントを何としてでも成功させようと、集まってくれた若手メンバーが本当に奮闘してくれました。富士山をいただく岳南地域の特徴を活かした「富士山リレー講演会」や懇親会での趣向を凝らした催しの数々、県内から参加した各地区稲門会の皆様や来賓としてお迎えした早稲田大学校友会の役員の皆様、総勢180人に岳南稲門会の意気込みや本気度を大いに示すことが出来ました。


 岳南稲門会の創設は、終戦直後の昭和21年に遡ります。再来年の2026年には創設80周年を迎える歴史のある大学OB会です。昭和から平成にかけてメンバーの多くは、富士・富士宮地区の産業界、法曹界、政治・行政の分野で目覚ましい活躍をされてきました。まさに岳南地域の発展のかげに岳南稲門会があったといっても過言ではありません。そうした輝かしい歴史にあって、前会長の立石健二弁護士は、岳南稲門会をさらにグレードアップすべく様々なミッションを立ち上げました。若い人がもっと集えるオールラウンドの親睦会として岳南稲門会を機能させたいという思いから、会則の全面改正、ウェブサイトの一新、総会の活性化などに積極的に取り組んでいただきました。そうした改革志向の立石イズムが、若手メンバーの活躍による静岡県稲門祭の成功や、その後の役員体制の大幅な刷新に繋がったといえます。


 立石前会長の後任として私が会長を拝命することになりましたが、これは私だけのことではありません。3人の副会長もすべて入れ替わり、幹事長、事務局長、会計などのポストも若いメンバーに引き継がれました。
 新体制になって間もなく1年が経過しますが、その間に恒例の秋のゴルフコンペ「富士山カレッジカップ」の開催や、5年振りとなる「サロン部会」の講演会、ラグビー早明戦の観戦など、大学OB会らしい親睦組織としての活動を続けてきました。
 8月に開催される今年の総会では、新たな試みとして岳南地域出身の現役早大生を招待します。生まれ育った故郷の素晴らしさや先輩たちの温かな眼差しを感じ取ってもらい、富士山の麓をこれからの人生の舞台として選んでもらえるよう微力ながら働きかけができればと考えています。


 母校早稲田大学は世界に冠たる価値のある総合大学として2032年の創立150周年に向けて様々な挑戦と改革を進めていますが、入学生の地域偏在が顕著になっています。1都3県の出身者が在校生の7割以上を占め、それ以外の地方出身者は3割を切るとも言われています。また、地方では地元大学志向が強く、かつてのように地方の学生が大志を抱いて早稲田に入学するという伝統的な流れが途絶えつつあります。
 これからの岳南稲門会の活動として、地元の高校生に早稲田大学に関心を持ってもらう「進学座談会」のようなイベントを企画したり、高校の現場に早稲田大学の情報を提供したりすることなどが必要だと感じています。
 岳南稲門会は一大学のOB会に過ぎません。この地域に暮らす約300人の会員が楽しく交流できれば所期の目的は達成します。しかし、新たな会員を獲得し、今後も持続可能な親睦組織として活動していくためにも、早稲田大学の存在価値を広く周知し、人々の心に種を蒔くような地道な活動にも努めていきたいと思います。


 皆様方のこれまで以上のご支援をよろしくお願い申し上げます。

岳南稲門会会長  森 田 正 郁